メッセージ / Messages

「ピュ~ぴる」監督 松永大司さんより

以前より友達であったピュ~ぴるを遊び感覚で撮り始めたのが2001年。当時僕らは、現代アーティスト・映画監督にそれぞれなりたかったわけではありません。そんな風に始まった撮影も、時を経る中で色々な変化を記録していきました。今現在も撮影を続けていますが、この最初の映画は2001年から2008年までの8年間をまとめた作品になっています。様々な想いが詰まったこの映画が、ささやかでも何かを変えるきっかけになれば幸いです。

一人でも多くの人にこの映画が届きますよう。

画像:松永大司さん

「ピュ~ぴる」出演 ピュ~ぴるさんより

青森インターナショナルLGBTフィルムフェスティバルにて、映画『ピュ〜ぴる』を上映して下さる事を誠に感謝致します。

映画『ピュ〜ぴる』は国内外の多くの映画祭に招待され、私自身も監督と共に招かれた場所も沢山ありますが、LGBT映画祭に、この映画が招待される事を、他の映画祭とはまた違う感慨と共に心より光栄であると思っております。当事者ではない方達に、私の様な人間が生きているという事を知って貰える事も、とても重要な事なのですが、逆に当事者の方達にも、目を背けないで、知らぬふりをせず、足下をみて、是非この映画を観て頂きたい。そして、もし今、この瞬間にも自己のセクシャリティーやアイデンティティーに関する事で苦しんでいるのであるならば、この映画を通して自己の中にささやかでも何かを感じ、それぞれの明日への路を明るく灯す糧にして頂ければ、『なんて素敵なことなの!』と思うばかりです。

生きる事を諦めないでほしい。

闇の中でこそ光の輝きを知り、光の中でこそ闇の深淵さを知る。

そして、その先に存在するものは、『圧倒的な強度をもった美そのもの』であると、私は幼い頃より強い結界のように心の内に言葉を張り巡らせ、今、この世界に活きて生きています。

いつか泣きながら笑い合いたい。

ありがとう
ありがとう
ありがとう

画像:ピューぴるさん

「Coming Out Story」監督 梅沢圭さんより

この度は、第7回青森インターナショナルLGBTフィルムフェスティバルでの『Coming Out Story』の上映機会を与えてくださりどうもありがとうございます。京都の狭い部屋に住み込みながら撮影をしていた当時、出来上がる作品がいつか遠く青森にまで旅立つことになるとは想像もしていませんでしたので、大変、光栄に思います。

この映画を作りながら「セクシュアルマイノリティ」として、もしくは「トランスジェンダー」としてではなく、唯一、かけがえのない「私」として、社会のなかで人はどう生きるのか?そんな問いと常に対面しておりました。それは作品が完成したいまも、答えの出る問題ではなく、答えなどない問いなのかもしれません。

そういった意味で、この映画はまだ旅の途上にあります。そんな中で、青森の観客の皆さんとお会いし、新しい関係を築ける機会を頂けたこと、これ以上ない幸せです。この映画にとっても、私にとっても。

画像:梅沢圭さん

「Coming Out Story」出演 土肥いつきさんより

彼らとはじめて出会ったのは6月7日のことです。「ビールを呑みながら?それともコーヒーを飲みながら?」と聞くわたしに「では、ビールを呑みながら」と、わたしの期待に添った答えを返してくれた彼らとは、京都市内の居酒屋で会いました。自己紹介もそこそこに、気がつくと、なんのために会ったのかわからないような会話をかわしながら、あっという間に意気投合した不思議な数時間のことは、いまも忘れることができません。その日から、彼らと一緒にどれほど大量のビールを消費したかわかりません。

そして1月20日、彼らは突然わたしの前から消えました。わたしは京都に一人、喪失感とともに残されました。その傷がようやく癒えかけてきた5月のおわり、映画「Coming Out Story」が完成したという知らせが入りました。映画は、再び彼らとわたしをつなげてくれました。今は関東と京都、離ればなれになったわたしたちですが、それでもたまに一緒にビールを呑み、チューハイストロングを飲み、倒れるまで語りあいます。テーマはやっぱりあの時と変わりなく「今を生きるわたし」についてです。

ともすればなにげなく過ぎ去ってしまいがちな、しかしほんとうは一度は立ち止まらなくてはならない「時」が、誰にもあるように思います。そして、立ち止まったからこそ前を向ける。わたしたちのそんな「時」を刻んだ映像は、きっと誰もに一度立ち止まる勇気を与えてくれると思います。

画像:土肥いつきさん