メッセージ / Messages

「娘さんを僕にください」監督 藤本裕貴さんより

この度は「青森インターナショナルLGBTフィルムフェスティバル」にご招待いただきありがとうございます。

この作品はトランスジェンダーを題材に、「恋愛は、性別や身体ではなくて”心”が大切なんだ」ということを、コメディタッチで描きました。ストーリーは不器用な主人公が奮闘する純愛物語です。

愛するパートナーと人生をともにしたい。そんな純粋な想いにフォーカスを当てました。セクシャリティに関係なく「どうして人を好きになるのか」を見つめ直すきっかけになれば嬉しいです。また、畳み掛けるトークバトルも見どころの一つです。

15分と短い尺ですが、上映の機会を与えてくださったスタッフの皆様に心より感謝いたします。そして、ご来場の皆様の心に少しでもひっかかる作品になれば幸いです。

藤本裕貴さん

「ある家族の肖像」監督 松井蛙子さんより

この度は、「ある家族の肖像」を上映いただきありがとうございます。

LGBTに対して偏見を持つ人が未だ存在するという事実を感じたことが、本作品を撮るきっかけとなりました。私の身内には当事者がおりますが、その人は私にとっては、憧れの存在で、尊敬すべき人です。昔はゲイなどと言う言葉もない時代でしたが、何ら当り前の事として私達は育ちました。人づき合いの上で、その人自身を見ることを、彼を通して自然に学んだ気がします。

本作品は2014年に上映された、「エソラ」の田中監督とそのパートナーを記録したものです。元より友人であった彼らの「自然さ」をぜひ撮りたいと思いました。何ら特別なことではない事を当事者以外の人に、感じてもらいたい、タイトルにもそのような思いがこめられています。また、作品の中で「周りの人も含めて家族」と語る言葉は、家族の形を模索している私自身にとっても、考えるヒントにもなりそうだと感じています。

松井蛙子さん

「leave us alone」監督 濱崎藍さんより

青森インターナショナルLGBTフィルムフェスティバルにお越しの皆様

はじめまして、濱崎藍と申します。私が仲間とともに作った作品が、この映画祭でたくさんの方に見ていただけることをとても嬉しく思います。

差別をする人は一回差別される側の立場にでもならないと、その人の痛みがわからないのかもしれない、という考えから始まりました。

私は同性愛者ではないので、このテーマを描いていいのか悩んだこともありました。でも、完全に理解はできなくても理解しようと歩み寄ることはできるはずだという希望を込めてこの作品を作りました。どうぞよろしくお願いします。

濱崎藍さん

『ソウル・フラワー・トレイン』監督 西尾孔志さんより

『ソウル・フラワー・トレイン』上映ありがとうございます。

この作品はじっくり観て頂ければ細部に至るまで沢山の種類の、カテゴリーすら並列しない様々な人たちが登場します。ストリッパー、在日外国人、レズビアン、ホームレス、さらにはスリや置き引き犯まで。映画や小説は多くの場合、それぞれの種類の人々を特殊な人であるとして描きます。つまりマイノリティとして。そしてそこに何かしらの社会問題を描き出したりします。

でも私の住む大阪の下町では日常的にこれらの人々が隣り合って生きています。なので私がこの映画で描く大阪の下町では、田舎から娘を訪ねてくる普通の男・天本(平田満)こそがどこかマイノリティとして扱われます。そしてドラマの核となる「娘の職業の秘密」以外のことは、在日外国人もレズビアンも「そこにそうやってあるもの」として問題にすらなりません。

もちろん現実にはいろいろとあるでしょうが「いいじゃないですか、この映画の中くらい、みんな自分らしく生きていれば」と思います。そんな勢いで幽霊まで登場する大阪の下町ですが、皆さんにとって居心地の良い一時間半の観光旅行となれば幸いです。

西尾孔志さん